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香りのコラム

Connect with・・・ ~イシュタルからのお手紙~バラの香りの秘密

私の本業は、蓬田バラの香り研究所の代表です。モダンローズの香気研究第一人者である蓬田先生の研究成果をもとに、情報発信やフレグランス商品の企画や調香、セミナーワークショップの依頼などを受けています。私は研究者ではありませんので、ここでの役割は、とにかく先生のやってこられた研究の成果を、間違いのない情報としてお伝えすること。そして、バラの香りについてより多くの方々に知っていただくために、フレグランス商品の企画をご提案するなど、バラの香り一択のお仕事です。

私が最も好きな時間は、お客様とコミュニケーションを取りながらの調香ワークショップです。楽しくお話しながら香りについて知っていただき、そして自分だけのオリジナルフレグランスを作っていただくのです。短い時間でありながらも本当に多くの方々と接することとなりました。

そんな中、見えてきたものがありました。

ワークショップに参加いただく方は、バラを育てることが趣味でその延長で香りについても知りたい。そういった方ももちろんいらっしゃいます。しかし多くの方が、バラの香りになんらかの効果を感じ、よりご自身を高めるための方法の一つとして香りを利用しているということです。

世の中には癒しグッズが溢れています。香りが心理的効果をもたらすことは今や常識として多くの方が活用しています。当然バラの香りにもその効果が期待され、それに対して期待を裏切らないだけの香りの効用をお伝えすることができます。

がしかし、もうそれじゃあつまらんのよね・・・

癒し、リラックス、鎮静効果。もうそういうのおなか一杯。バラの香りが持つポテンシャルはそんなものじゃないのです。私はここ数年で、バラの香りの伝道者(自称)としてのステージが変わり始めていることに気づきました。それは香りを通して、一歩踏み込んだ心の琴線に触れ共感し共鳴する。バラの香りはある種のトリガーの役目であるのではないか・・・

さて本題です。

太古の昔から神事にも使われてきたバラ。天とこの世を繋ぐ役目としてバラの香りは使われ、その香りを嗅いだ巫女さんのような役割の女性はトランス状態になって神々と交信したといいます。

「花の香りを嗅ぐ女神」ルーブル美術館所蔵のこの石像は、愛と美の女神イシュタルであると言われています。高貴な位であろう女性がうっとりとバラの花を嗅いでいる様子。イシュタルとは高貴な位の巫女さんだったのかもしれません。後のヴィーナスの原型ともいわれます。

あぁ、ここに繋がるのか・・・と電気が走るような感覚と、この仕事を与えてもらった本当の意味が解った瞬間でありました。バラの香りの持つエネルギーの根源は、神聖な何かと人とを繋ぐ高貴な波動と繋がっている。

このエネルギーがスイッチの役割。つまりバラの香りを嗅ぐことで気持ちを切り替えたり、自身を高めたりといった、もっと能動的に人の「気」というものにアクセスするのではないかと思いました。

バラの香りはそのツールの一つなのだと理解します。

蓬田先生の講義では、「至高の香り」という表現を使います。これぞバラにふさわしい。高貴で美しい言葉です。先生はよく、私はバラの女王におつかいする身である。とおっしゃいます。この言葉の意味を私の立場で置き換えると、バラの神さまと人の気を繋ぐ巫女…などと解釈してみると、なるほど。私も微力ながらそのお役目のお手伝いをさせてもらえるスタート地点にやっと立てたのでは?と感じる今日この頃です。