バラの香りを学ぶ

バラの香りとは

香りの分類

バラは様々な形で交配され、多くの花色、姿形を持つ現代バラ(モダンローズ)が誕生し、同時に香りも多様性を持つようになりました。20年以上をかけてオールドガーデン・ローズ、現代バラの香りを科学的に分析し10のノート(まとまった香りのニュアンス、あるいは香調のこと)に整理されました。それを踏まえ実際のバラを、成分を確認しながら嗅いだ結果、今日の香りタイプの基準となる7つの香りタイプに分けられました。

【パルファム図】
バラの香りをヘッドスペースGC/MS分析を行うことで確認した成分について、その香気特徴をもとに10のノート(まとまった香りのニュアンスあるいは香調のこと)に分類したものを円グラフで表したもの

7つの香りのタイプ

ダマスク・クラシックの香り
芳純
ダマセナやセンチフォリア系の強い甘さとガリカ系の華やかさを合せ持っている。所謂バラの香りといえば古典的なこの香りをさすが、現代バラには 典型品種が少なく、ティーやフルーティー・ノートがやや強く出る傾向にある。
【代表的な品種】
芳純香久山セシル・ブルナーグラナダスブニール・ドゥ・ラ・マルメゾンティファニー / ザドクター / ハワイ / アピール
ダマスク・モダンの香り
パパ・メイアン
ダマスク・クラシックの香り成分を受け継いでいるが、成分バランスが異なっているためにより情熱的で洗練された香りとなっている。
【代表的な品種】
パパ・メイアンクリムソン・グローリー / ネージュ・パルファン / イブ・ピアッチェ / マーガレット・メリル / シャルル・マルラン
ティーの香り
レディ・ヒリンドン
中国由来のロサ・ギガンテアやチャイナ系の香り特徴成分が含有する。香り立ちは中程度であるがグリーン・バイオレットの香りが基調となり、上品で優雅な印象を与え 拡散性がある。現代バラに最も多く、中核をなしている。
【代表的な品種】
レディ・ヒリンドン桜鏡ディオラマガーデン・パーティロイヤル・ハイネス春芳 / グラン・モゴール / アルバータイン
フルーティの香り
ダブル・ディライト
ダマスク香成分とそのエステル類が多く含有し、さらにティー系の特徴成分が様々なバランスで含有することでピーチ、アプリコット、アップル様などの果実の香りが想起される。
【代表的な品種】
ダブル・ディライトドゥフトボルケホワイト・クリスマスハーモニー楽園 / パピオン・ローズ
ブルーの香り
ブルー・ムーン
青バラ系の品種は、一部の香り立ちの弱い品種をのぞき類似の香りを持っている。ダマスク・モダンの香りとティーの香りが混在し、独特な香りを形成している。
2009年、資生堂研究所は本タイプの代表でもある“ブルームーン”からユズラクトンや2-イソプロピル-4-メチルチアゾールを同定しており、香りに寄与する特徴成分の探索が続けられている。
【代表的な品種】
ブルー・ムーンブルー・パフュームシャルル・ドゥ・ゴール / ブルー・リボン / スターリング・シルバー / パステル・モーブ
スパイシーの香り
デンティ・ベス
ダマスク・クラシックの香りが基調であるが、クローブ(丁子)やカーネーションの香り特徴であるオイゲノールをやや多く含むスパイシー・ノートが強く感じられる。
【代表的な品種】
デンティ・ベス / 粉粧楼 / ハマナシの類
ミルラ(アニス様)の香り
セント・セシリア
ハーブのアニスに似た香りで、アニスの甘さをやや抑え青くささを強めたような香りの特徴を持っている。イングリッシュローズの一部の品種に認められ、ダマスクやティーの香りと混合したものが多い。
【代表的な品種】
セント・セシリアグラミス・キャッスル,アンブリッジ・ローズセプタード・アイル / タモラ

尚、これらは基本タイプであり、複合している品種も多くある。


このページのTOPへ