バラの香りを学ぶ

バラの香りの研究

香りの成分

世界の香料化学者にとってバラの香気は、香料としての価値が高いことや人の文化・歴史に深いかかわりがあることなどにより興味深く魅力ある研究対象となっています。
バラの香りの分析によりこれまでに見いだされたバラの香気成分は540を超えています。その香気成分からさらに主な特徴成分を抜き出し、10ノート※に分けると次のようになります。
※ノート(香調ともいう):まとまった香りのニュアンス、あるいは香調のこと。

バラの香りの中に、これらの10ノートがどのような割合で入っているかによって、香りのタイプを知ることができます。
香りの分類

バラの10ノート(香調)

ダマスク・スウィート
いわゆるバラの甘い香り。フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ネロールなどの成分の香り。
フルーティー・フローラル
果物の香りやいろいろな花の香り花に特徴的な香りで、フェニルエチルアセテート、シトラール、リナロールの成分の香り。
スパイシー
クローブ(丁子)やカーネーションに多く含まれる特徴的なスパイシー様の香り。
オイゲノール、メチルオイゲノールなどの成分。
ハーバル・グリーン
リモネン、ミルセン、オシメンなどモノテルペン炭化水素類がもたらすやや薬効感のあるグリーンな香り。
ウッディ・ハニー
カリオフィレン、ムーロレンなどセスキテルペン炭化水素類の木香様の香りとハチミツ様の香りを合わせた香り。
ティー・バイオレット
紅茶やスミレの香りに特徴的な拡散性のあるイオノン骨格を持つ成分の香り。
フレッシュ・グリーン
ヘキセノールやヘキセニルアセテートの新鮮な青葉を手で摘んだ時の香り。
ティー・フェノリック
やや湿ったフェノリック(薬品的)でスパイシーさを持ったティーローズ特有の香り。
水をまいた花屋の前を通った時のような香り印象で、殆どの現代バラに含まれる。ジメトキシメチルベンゼン、トリメトキシベンゼンなどの香り。
ミルラ(アニス様)
ハーブのアニス(ウイキョウ)に似た苦味のある甘さに青臭さを伴った香り。イングリッシュローズにあるミルラの香りの正体であり、ほかの成分とのバランス加減で香りの嗜好が別れる。メトキシスチレン、ビニルフェノール、ジメトキシスチレンなどの香り。
ロージー・ワックス
比較的揮発しやすい花ロウ由来の成分。
油脂、ワックス様のにおいがあるものの、成分自体に特徴ある香り印象を持たない。
バラの香りの柔らかさや保留性に影響している。
ヘキサデセン、ノナデカン、ノナデセンなどの脂肪族炭化水素(C15?25)、脂肪族アルデヒド(C15?20)、脂肪族アルコール(C15?20)。

注意:香り捕集時に、ツイスターが花弁にこすれる様に強く触れた場合、これらの成分が多量に確認されることがある。


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